2021年11月、日本からイタリアへ渡航したときの記録です。
オミクロン株が発見される直前のイタリア入国でした。
8月にイタリアでのワクチン接種が完了し、約2年ぶりに日本へ帰国できたのが10月。1か月ほど骨休めをし、イタリアに戻ってきました。
海外から日本帰国時のレポート(14日間隔離の様子など)はブログ等に結構あがっていますが、日本→海外の渡航記録が少ないように感じたので書いてみようと思います。
概要としては、
時期:2021年11月
フライト:羽田→フランクフルト→ボローニャ
用意した書類:❶PCR検査陰性証明書、❷ワクチン接種証明、❸EU Digital Passenger Locator Form(滞在先などをオンライン記入するもの)
現地での隔離期間:上記書類3点すべてあればイタリア入国後の隔離は免除
以下に詳細を。
イタリア入国に必要な書類(2021年11月)
在ミラノ日本国総領事館のサイトを参考にしました。
https://www.milano.it.emb-japan.go.jp/itpr_ja/fromjapantoitaly.html
URLが変わったりするのでリンクは貼らず、スクリーンショットを。
以上の必要書類3点については、状況がどう変化してもそんなに変わることはないんじゃないかと思います。
実際に書類をチェックされたか?
で、この書類3点を実際にチェックされたかについて。
まず、今回の航路はフランクフルト経由でボローニャでした。
この場合、EU入域審査(パスポートコントロール)はフランクフルト空港。
コロナ前から同空港での乗継ぎはよくしていましたが、入国審査官によって対応がかなり違います。
特段フランクフルトに限らずだいたいそんなもの。
日本のパスポートと見るやほぼ素通りさせる審査官もいれば、滞在許可証をじっくり検分する厳しい審査官も。
今回の審査官はユルめでした。
コロナ関係の書類よりまず滞在許可証をチェック。その確認が取れると「ワクチンパスポートは?」と聞かれ、私が差しだそうとすると目視しただけで「もういい」といった感じで審査終了。
残り2点の書類(陰性証明書とEU Digital Passenger Locator Form)は、持っているかの確認すらしませんでした。
ただ、繰り返しになりますが、今回の審査官がたまたまこうだったというに過ぎません。
こちらが想定していなかった細かいことまで質問してくる審査官にあたることも当然あり得ると思います。こればかりは本当にケースバイケースとしか言いようがありません。
そして、最終目的地のボローニャ空港では何のチェックもありませんでした。
それよりも、出発時の羽田空港チェックインカウンターでは、この書類3点を結構時間をかけてチェックしていました。
聞いてみると、書類の不備によっては最悪搭乗が認められないケースもあるということでした。
以下に、この必要書類3点についての詳細。
【必要書類①】EU Digital Passenger Locator Form
このサイトから、利用フライト、イタリアでの滞在先などを入力。
入力が終わるとQRコードが発行されます。
このQRコードの提示だけで十分なのかもしれませんが、PDFでダウンロード可能だったので印刷して持参。プリントアウトすると4枚の書類になりました。
利用フライトについては、座席番号まで記入、乗り継ぎの場合2フライトの情報をそれぞれ記入。
私は出発2日前ぐらいに記入しました。記入してQRコードが発行された後も修正は可能。
【必要書類②】ワクチン接種証明書
私はイタリアでワクチンを接種しました。
接種した人に発行されるEU共通のワクチンパスポート「グリーンパス」。
レストラン、劇場、オフィス、公共交通機関など、これがないと入れない場所がどんどん増えていっています。
で、一番求められている情報は、日本発行のワクチン接種証明書がイタリアでどの程度有効なのか?だと思うのですが、オフィシャルな情報としては外務省のサイトに、
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/certificationlist.html
日本発行のワクチン接種証明書が使用可能な国のリストが掲載されており、イタリアも入っています。
少なくともこれがあれば、出発時のチェックインカウンター、到着時の入国審査などでハネられることはないはず。
次に、現地イタリアに入ってから各所でこの日本発行の書類を見せて通じるのか?という疑問が出てくるわけですが、そのあたりのことが以下のリンクに。旅行会社STWORLDのサイト内の旅行記。
https://stworld.jp/earth_info/IT/diary/613420720f22e9.95660142/
2021年8月の旅行記ですが、博物館やレストランなで「断られたことは一度もなかった」とのこと。
一緒に身分証の提示を求められたこともあった、とも書いてあるのでパスポートも持ち歩くほうが良さそうです。
【必要書類③】都内クリニックで行ったPCR検査の陰性証明
検査を行ったクリニックには「何だかなぁ。。」と思わされるポイントがいくつかありました。
日本のPCR検査費用は高いというのはよく聞く話で、「PCR検査 証明書 当日 都内」ぐらいのワードでざっと検索してみると2〜3万円はくだらないことがわかります。
私が日本帰国前にイタリア国内で行ったPCR検査は、証明書当日発行で90ユーロでした(これでも相場よりやや割高)。
そんなときに見つけたのがANAサイト内のこのページ↓↓
https://www.ana.co.jp/ja/jp/international/prepare/pcr-portal/
ANAが提携する国内クリニックを紹介しており、おそらくANA便利用者への特別価格を設けていそうな雰囲気。
提携クリニック3つの中で最も低価格なのが「にしたんクリニック」というところで、検査費用は16060円(税込、陰性証明書込み)と書かれています。
他にいろいろ調べるのが面倒なのでここに決めてしまいました。
PCR検査の種類:鼻咽頭ぬぐい液を選択
場所:検査は銀座で行い、証明書は渋谷で引き取り(*唾液検査の場合は来院不要、郵送で)
費用:15400円(英文証明書込み。おそらくANAやJAL利用者の特別価格)
検査から出発まで:
出発2日前の16時に銀座で検査
↓
翌日(出発日前日)14時に渋谷で証明書を引き取り
私は今回「鼻咽頭ぬぐい液」を選択したので銀座まで行きましたが、同クリニックでは唾液による検査の場合は郵送で対応。
「鼻咽頭ぬぐい液」は長い綿棒を鼻の奥に突っ込む検査方法で、これを選択したのはイタリア国内でPCR検査したときもこのタイプだったからというだけの理由。
冒頭で引用した在ミラノ日本国総領事館のサイト内にもPCR検査の種類までは指定されていないのでこれでいいだろう、と。
このクリニック、「モンブラン銀座ビル」なる建物内に入っています。立地、そして内装もクリニックというよりエステ。検査も個室で行われました。
選んだ理由は、他に比べれば低費用だったこと、24時間電話で問い合わせ可能だったこと、航空会社と提携しているのだからそれなりに信頼できるだろうと思ったこと、の3点。
逆に言うと、この3点がなかったら次はもう利用したくないかもというのが率直な印象。
やりとりの中で「何だかなぁ」と度々思わされたのは、何というか、同クリニックのスタンスです。
以下、★★←この部分まで個人的な不満。適当に読み飛ばしてください。
「当クリニックは多数の国や地域の陰性証明書に対応しています、
しかし渡航国が求める検査条件や書類についてはお客様のほうで確認ください、
当クリニックは責任を負いません」
しごく当然のことだと思います。
多少なりとも海外渡航の経験がある人にとっては、トラブルの対応は自分一人の責任で処理せざるを得ないことは、経験として学ぶので当たり前のこととして理解できます。
その当たり前のことを、ことあるごとに責任免除の予防線(こちらは事前に言っておきましたからね)のように言ってくるのに辟易しました。
例えば、私としては同クリニックがこれまでにイタリア渡航者へ証明書を発行したことがあるか気になったので質問しました。
答えとして「イタリア渡航のお客様もいました。そのときに提供した書類はこのようなものでした」ぐらいの情報共有はあってもいいと思います。特に航空会社と契約して海外渡航者向けのPCR検査を提供しているのですから。
しかし、最初に「そのようなお客様もいました」と答えると、すぐ「でも最新情報についてはお客様のほうでご確認ください」とすぐに予防線。
「この書類で大丈夫だって言うからお願いしたのに現地で断られた! どうしてくれるんだ!」
といった類のクレームを事前回避するためには仕方ないのでしょうが、そればかりを気にしているような印象が強く「何だかなぁ」という感じ。
コロナ禍という不確定要素だらけの状況で、最終的には自分で判断するしかないことが多くその責任は自分で負うしかない。。百も承知です。こちらとしてはその判断をするための情報が欲しいだけです。
提供してくれた情報が、その時点においてそのケースでのみ通用したもので、自分のケースにも同様に通用するなんて全く思わないし、ましてトラブルが起きたときに事前に情報提供してくれたことに文句を言うなんてあり得ない、と自分は思っています。
同クリニックの予約確認メールに書かれていた以下の文言にも「う〜ん」となりました。
陰性証明書の書式に関して個別対応はいたしかねます
個別対応というのは、例えば、日本政府が入国者に求めている指定フォーマットでの陰性証明書のようなものを想定しているのかもしれません。
帰国前にイタリアでPCR検査をした時は自分でそのフォーマットの用紙をプリントアウトし、クリニックに持参しそれに記入してもらうという手続きでした。
そのイタリアのクリニックでは「以前にもオリンピック関係者に同じことをやったから大丈夫」と気持ち良く受けつけてくれました。
航空会社と契約して海外渡航者向けのPCR検査を提供しているのであれば、それぐらいの対応すべきでは?と思ってしまいます。
他にも、同クリニックのサイトには「返金は不可」とあるのですが、オンラインで予約・支払いが完了した後に電話がかかってきました。
検査日時が渡航国の条件に合致しているか確認の電話だったのですが、支払い完了後にそれを確認されても、返金不可になっている以上意味がないように思えます。
イタリアは入国72時間前の検査が条件ですが、予約ページでは「出国72時間前の検査」という項目しか選択できないようになっています。
そのあたりの確認の電話だと思うのですが、オンラインでしか予約できないのに重要な検査日時の認識があまい作りになっており、それでいて返金不可。これも「何だかなぁ」です。
さらに検査当日、クリニックの受付で事前の電話と同じことを聞かれ、それが重ねての確認ということなら分かるのですが、私が電話で伝えたことがまるで伝わっていない様子。
電話オペレーター部門と、クリニック現場との間で情報共有ができていないようで、証明書引き取りの日時も間違って伝わっていました。
場所は銀座、内装もエステのようにぴかぴかな分、中のオペレーションがちゃんとしていないとかえって軽薄な印象が残ります。
★★
と、ここまでクリニックでのPCR検査に関する否定的レビューを書いてきましたが、なぜこんなにタラタラと不満を綴っているのかといえば、結局のところ気持ち良くない出費だからです。
渡航前のPCR検査の義務については何の異論もなし。それを渡航者が負担するのも当然ですが、実費に近い価格設定にするべきだと思います。
クリニックによってこれだけ値段に開きがあると(5千円〜3万円)、これ言い値じゃないの? と勘繰りたくもなります。
検査自体は5分もかかりません。このクリニックの場合、個室に医師が入ってきて簡単な説明をし、鼻に綿棒を差し込んで終了。
これを良心的な価格と感じる人はいないわけで、それを航空会社と契約して海外渡航者向けに提供し利益を得ているのであれば、せめて出費に見合った細かい対応があってしかるべきだと思うのです。
最後になりますが、今回の経験から感じた海外渡航前のPCR検査の留意点は、
- 渡航国によって求める条件が、出国前〇〇時間以内か、入国前〇〇時間以内か違う。
- 入国前72時間以内の場合、時差を計算するとかなりタイト。場合によっては検査結果が当日に発行されるクリニックを選ばなければならないこともありそう。
- 検査証明書は、メール経由でPDFというのも可能なようだが、個人的には肉筆サイン入りの原本のほうが安心できる。原本の場合は当然それを引き取りに行かなければならない。
(おわり)