イタリア国民投票。外国人にもわかるように解説してもらった ①

長くこちらで生活しながら、新聞をほとんど読まないので、政治情勢にまったく疎い。

そこで、12月4日に迫った国民投票について、まわりのイタリア人にレクチャー願おうと、それとなく話題を振って聞くようにしています。

みんな、サッカーの話と同じぐらい政治の話も大好きなので、ちょっと聞くだけで、いろいろ答えてくれる。(ただ、往々にして話がだんだん難しくなって、こっちの理解のキャパを超える場合が多い)

そもそも

そもそも何のために行われる国民投票なのか、断片的に聞いたり読んだりして自分なりに理解したのはこんな感じ。

日本の衆・参議院のように、イタリアには上院と下院というのがある。
上院の権限が強くて、法律が通りにくかったり、政権がすぐ変わったりして安定しない。
だから、レンツィ首相(41)は、上院の定数を減らし、権限を弱くして、政権が安定するようにしたい。
そのためには、憲法を改正しなくてはならない。
憲法改正には、国民投票が必要。改正賛成なら「Sì」反対なら「No」

イタリアは欧州の他の国に比べて政治家の数が多い、というのは昔からよく聞く話で、それだったら、「上院の定数を減らす」というのはいいことなのでは?そしてそれに反対するのは、既得権益を守りたい古い政治家たちなのでは?

自分は、単純化してそんな風に捉えていました。

イタリアのポピュリスト

英国欧州離脱、米国トランプ大統領誕生と、いま流行りのポピュリスト。イタリアにもこのムーブメントはあって、記憶によると、7〜8年前にコメディアン出身のある政治家が一部の若者たちの熱烈な支持をうけて政党を立ち上げた頃から、一定の勢力を保っている。

ベッペ・グリッロという人で、ブログは何故か日本語版もある。

この人が何をしたいのかは、例によって自分は詳しく知らないが、確かなのは、欧州連合からの離脱を提唱していること。

今回の国民投票については「NO」を表明。これは「NO」が勝って、レンツィ現首相が倒れれば自分の勢力をもっと伸ばすことができるから、、だと思われる。

イタリア人女性(40代・アート関係)の話

「とにかく最悪なのは、極右政党の党首・サルヴィーニ。見ているだけで虫唾が走る。こいつは今回『No』を表明している。これが勢力を強めることだけは避けなくてはならないから、私は『Sì』に投票すると思う。

レンツィ首相を100%支持するわけではないけど、彼は『欧州に壁はいらない』と言っていて、これは評価する。

上院の定数が減る(315→100)のはいいことのようだけど、その100人のうちの95人は地方議会の議員から選ぶ、という部分が未知過ぎてリスキー。ちょっと怖い」

イタリア人男性(40代・IT関係)の話

「憲法改正の是非を問う国民投票のはずなのに、レンツィ首相を支持するかという『信任投票』の色合いを帯びてきた。『No』を呼びかけている政治家たちは、ちゃんとした理由があって『No』と言っているわけでなくて、ただレンツィ首相に反対するためだけにそう言っているだけ。

主にメディアの影響で、首相の『信任投票』化してしまったため、レンツィ首相を、そして彼の経済政策を支持するかどうか、という観点で投票する人が多いだろう。憲法がどのように改正され、改正されたらどうなるのか、ちゃんと理解して投票する人は少ない。

レンツィ首相は、この国民投票の実施が決定した4月頃は、まず間違いなく『Sì』が勝つと踏んでいたため、『No』が勝って憲法改正が成らなかったら辞任すると言っていた。

が、その後、英国の欧州離脱、米国のトランプ新大統領誕生、と世界情勢が一変し、現時点では『Sì』と『No』がほぼ半数と言われていて、そうなったら、今度は『辞任』という前言を撤回しようとしていて、こういうのはいかにも政治家っぽくて気に入らない」

イタリア人男性(20代・音楽関係)の話

「イタリアの老人たちは、自分が支持する政党の言うことを鵜呑みにして、投票するだろう。厄介なのは、そういった老人たちの投票率が高く、自分たちのような若者の投票率を上回っていることだ」

※ 彼が、どちら派なのかは良く分からず。彼の言う老人たちが、総じてどちらに投票するのかもよくわからず。

イタリア人女性(30代・弁護士)の話

「問題なのは、レンツィ首相は国民の信任を得て首相になったわけではないということ。(*政治システム上、間接選挙で大統領が選ばれ、首相はその大統領に指名されて就任する)。

国民に信任されてなったわけではない者が、憲法改正という重要事項の国民投票の実施を、独断的に決めたことが問題。そんな権限は許されない。憲法賛成派が勝ったら、彼はますます権限を強めていき危険である」

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と、まあいろいろ。他に話が集まったら、また付け加えていこうと思います。

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