【FICO Eataly】イタリア食文化を結集させたテーマパーク

2007年にトリノでオープンした高級スーパー「Eataly」。今ではイタリア各地から世界、日本にも店舗を広げています(www.eataly.co.jp

お土産などを買いにEatalyに行ったことがある人なら、「Eatalyが食のテーマパークをオープン」と聞けば、興味を惹かれることと思います。

便宜的に「高級スーパー」と書きましたが、日本のそれのイメージとは違っていて、ただのスーパーじゃありません。まず、高級というより高品質食材というほうが「Eataly」のコンセプトに合っています。

企業マニフェスト(イタリア語ですね)の1つに

  • Mangiare(食べる)
  • Comprare(買う)
  • Studiare(学ぶ)

を掲げ、店内には各種レストランとイートインのスペースを備えていてこれも人気。

そして、2017年、「Studiare(学ぶ)」の部分に力を入れた食の総合テーマパーク「FICO」をボローニャ郊外にオープンさせました。

施設内を周るための専用自転車をレンタルしているほど広大で、完全ガイドのようなものはとても無理ですが、実際に行ってみて、おおよそ概要がわかったので書いてみようと思います。

 

FICO と Eataly の違い

Eatalyの店舗はミラノ、ローマ、トリノなどの市内にあり、イートインスペース、レストランを備えた高品質食材スーパーです。

FICOは、

Fabbrica = Factory(
Italiana = Italian
COntadina = Farming(

公式サイトでも確認しましたが英語訳では「the Italian Farming Factory」となっています。

つまり、地で育まれた食材が、
場で加工され、
店頭で販売され、
家庭や店で調理され、
我々の口の中に入るまでの全てのプロセスを一つの場所に集め、さらにそのプロセスを学んで体験できるという、壮大なコンセプトの複合施設です。

 

施設の概要。とにかく広い!

  • 施設名:FICO
  • 営業時間:毎日10時〜24時
  • 場所:ボローニャ駅から専用バスで約20分(往復7)
  • 住所:Via Paolo Canali 8, Bologna
  • 入場料:無料
  • 公式サイト(英語):www.eatalyworld.it/en/

とにかく広いです!

ボローニャ駅から専用バスで郊外へ約20分。

入口の両脇に施設の屋根の部分が見えますが、これは牛小屋や馬小屋の形を模しているようです。施設はくの字型で(↓写真)、中にはレストラン、食材売り場、食品メーカーの店舗とミニ工場、ミュージアムなどが入っています。この施設内をざっと周るだけで1時間半かかりました。専用のレンタル自転車で周ることもできます。ところどころ建物の外に出られるポイントがあり、外に出てみると、例えばミニ・ブドウ畑が隣接していたりします。

 

ミニ工場見学。その場で食べられます。

実際に何ができるのかというと、例えば、早い話、有名な食品メーカーのミニ工場見学のようなことができます。

パスタの町として知られるナポリ近郊のグラニャーノ。そのパスタメーカーの1つ、1912年創業の「Pastificio Di Martino」が、施設内に店舗を出しています。パスタメーカーというと、日本の普通のスーパーにも置いてある「Barilla」や「De cecco」が有名ですが、この「Pastificio Di Martino」はプレミアムなパスタの部類。

パッケージデザインが洒落ていますが、店頭でもグッズが目を引きます。5種類のパスタと、D&Gスペシャルエディションのエプロンが入ったブリキ缶などが売っていました(€120)。

↓写真の奥の方はミニ工場になっていて、実際にパスタを生産していて、ガラス越しに見ることができます。そしてパスタやグッズの売り場、さらにレストランエリアという風に、生産工程を見てべて、店頭販売でえて、その場で生産されたばかりのパスタをべることもできるわけです。

まさに

  • Mangiare(べる)
  • Comprare(う)
  • Studiare(ぶ)

です。

実際、私も学びました。この「Pastificio Di Martino」のパスタの生産工程をガラス越しに見ているとき、パスタを薄暗いところで乾燥させているエリアがありました。

特に気にとめず、写真も撮らなかったのですが、これを書く段になって、パスタの町・グラニャーノの昔ながらの生産方法を調べてみたら「低温での長時間乾燥」が他のパスタとの最大の違いらしいのです。

その一番大切な工程の写真を撮りのがしてしまったわけですが、一つ勉強になりました。

ちなみに自分が訪れたのは16時頃だったため、レストランはまだやっていませんでした。19時オープンということだったので、次回来る機会があれば、まずここで、パスタの町・グラニャーノのできたて作りたてパスタを食べてみるつもりです。

 

もう1つのミニ工場見学の例を挙げると、ビスケットなどを作るベーカリー会社「Balocco」(同社のホームページより↓)。ビスケットは、イタリアではれっきとした朝食で、スーパーに行くと必ずビスケット売り場が設けられており、各メーカーのビスケットが大袋で並んでいます。

おやつではなく朝食なので、わりと甘さ控えめで、私もよくお土産に日本へ持って帰ったりします。

施設内を歩いていると、焼き菓子の甘い匂いがしてきて、行ってみたら「Balocco」のビスケット工場でした。これもガラス越しに、好きなだけ見学することができます。オートメーションではありません。写真には写っていませんが、機械をオペレーションしている人もいました。そして、このミニ工場の隣に店舗があり、同じビスケットが売っています。 パッケージが、スーパーで売っているのと違っています。さらに、バールも備えていて、隣のミニ工場で焼きあがったビスケットを食べることも。

 

他には、高級チョコレートメーカー「Venchi」↓も、ミニ工場を併設した店舗を出していました。ここは、他と比べて結構人がいました。「Venchi」のチョコレートの製造工程↓

 

パルミジャーノチーズやパルマ生ハムの専門店も

イタリアには、指定された生産地や製品管理の基準を守らないとその商品名を名乗ることができない伝統的な食材が数多くあります。

FICO施設内には、そんな伝統食材の専門店も出店しています。

まず有名なところで、パルミジャーノ・レッジャーノチーズ。高級ブランドのブティックのような内装。イタリア人には、モノのデザインだけでなく、店舗やディスプレイの空間デザインに関しても、他の国の人には真似できないようなセンスがあります。パルミジャーノ・レッジャーノチーズ関連のグッズなんて、削り機ぐらいしかないのですが、このかっこよさ↓奥には厨房もあって、レストランスペースもあります。生産工程を見せる「ミニ工場」は併設されていませんでした。

 

それから、生ハムの最高峰「クラテッロ」専門店。豚の尻の、足の付け根部分だけを使用し、規定の製法で、パルマ県の Zibello とその周辺の7つの村で作られたものしか「クラテッロ」を名乗れません。その「クラテッロ」をはじめとするパルマ生ハム専門のレストラン。贅沢です。

日本のデパ地下、例えば伊勢丹新宿、に行けば確かに売っていますが、すごい値段します。(イタリアで買っても100gで10ユーロぐらい)

レストランの奥に生ハムやサラミの貯蔵室。クラテッロの貯蔵室も↓。
初めて見ました。もっと小さい部位なのかと思っていましたが以外と大きいな、というのが身も蓋もない正直な印象でした。。

 

他には、パルマと並び有名な「サンダニエーレ」生ハムの専門店もありました。「サンダニエーレ」は、ヴェネツィアの北のほう、フリウリ地方の町(村)の名前。イタリアのスーパーでは、パルマ産よりサンダニエーレ産のほうが高いくらいプレミアムな生ハム。

こちらは、レストランではなく屋台のようになっています。FICOの施設内には、レストランの他にも、この屋台のような形態もあります(「chiosco」と呼ばれる。日本語でいうキオスク)

屋台(chiosco)では、主にイタリアのストリートフードを扱っていて、他にはフィレンツェのモツ煮バーガーこと「ランプレドット」なども。

 

100種類をグラスで飲めるワインコーナー

イタリアでは、大きめのスーパーや専門店(エノテカ)でも、ワインを生産地ごとに分けて陳列していますが、FICO施設内のワインコーナーでは、スペースの広さを生かして、それがより分かりやすくなっています。赤ワイン、白ワイン、発泡と分けて、それぞれを州ごとに陳列。イタリアを代表するワインの一つ Barolo だけでもこの取り揃え↓もちろん、ワインバーを併設。グラスワインで100種類の中から選べる、というのが売り。気が利いた作りのディスプレイ。

書いたり消したりできるボードなので、時期によってラインナップも変わるものと思われます。↓クリック拡大でワイン名と値段が確認できます。例えば、右から2列目の下から4番目、

Barolo 2013 Mirafiore / 7ユーロ

「Barolo」のボトルを日本で買うと5000円以上はするので、こういう有名銘柄を試してみるのもいいかもしれません。

 

その他の見どころいろいろ

その他にも見どころがありすぎて紹介しきれません。。以下、箇条書きで。

  • キッチン用品の売り場もあります。 レトロ調家電メーカー「Smeg」、日本でも知名度が高い「Alessi」など。テーブルクロスやランチョンマットなどの布製品売り場↓も、なかなかいいです。これはもう少しゆっくり見たかった。
  • 手打ちパスタ教室なども申し込めます。食べたり買ったりの紹介が多くなりましたが、「学ぶ」の部分にかなり力を入れています。
    手打ちパスタ教室やワインのテイスティング、ジェラート作りやガーデニングまで、20以上のコースを随時開講していて、ホームページから予約、購入できるようになっています。
    そして、6つの有料展示エリアが施設内に点在。「人類と大地」「人類と海」など6つのテーマを学べます。
  • 施設の外にはミニ葡萄畑やトリュフハウスも。施設名「FICO」の「CO」は、「農」を意味する単語からとっているので、建物の外にはトリュフを栽培しているハウス(?)なんかもありました。そして建物内にはトリュフ専門レストランも。

 

イタリア食文化を結集した施設

FICOは、ボローニャ駅から専用バスで約20分の郊外にあります。

ボローニャは、イタリア旅行の中継地点として、あるいは周遊の起点として使われることが多い街です。

フィレンツェ、ミラノ、ヴェネツィアから電車で35分〜90分とアクセスがいいので、これらの町から日帰りも十分に可能。

食品メーカー、生産者、地元企業の投資と協賛のおかげか、アクセスの良さ(駅から30分おきに専用バス)、施設内の利便性、毎日夜12時までというイタリアらしからぬ営業時間、など旅行者にもかなり利用しやすいようになっています。

2017年オープンなので、まだ発展途上の部分はあります。でも、実際に行ってみると、お金もだいぶかけているのが分かりますし、その本気度が伝わってきます。

大げさなかもしれませんが、イタリアの食文化を結集し、その威信をかけて作った「力作」だと思います。

(おわり)