【香港・蓮香居】ローカルな老舗で一人飲茶するときの流れとマナーみたいなもの

香港の老舗「蓮香居」での一人朝飲茶、についてです。(1文字違いの「蓮香」は別店)

外国人観光客にとってはちょっとディープ、店内を回るワゴンや新聞を読みながらお茶をすする地元のおじさんたちといったオールドスタイルな雰囲気を味わえる名店。

老舗に外国人観光客が増えてくると古くからの常連は遠のいていきそうなものですが、ここ「蓮香居」は、少なくとも自分が初めて行った2015年以来、そういうことはないようです。

ほとんどのガイドブックに載っているほど観光客の間でも有名なのに、朝行くと必ず、地元のおじさん、おばさんたちが新聞を読みながらお茶をすすり、点心をつまみ、おしゃべりしています。

店名:蓮香居
場所:地下鉄港島線「上環」駅から700m
住所:上環德輔道西46-50號2-3樓 (Googleマップで
★ 近くに「蓮香」という店もあり姉妹店。というか、たしかそちらが本家。

この店の特徴は、

  • 地元客が多くローカルな気分を味わえる。
  • ちょっとディープ(通常の飲食店の「サービス」のようなものはないという意味で)
  • ワゴン式飲茶なので、点心を見て選べる。
  • 朝6時開店で、朝飲茶ができる。

などだと思います。

 

朝7時〜8時台に入店。自分で席を確保し、まずは「ポーレイ」の一言

この雰囲気↑、本当に好きです。

このままずっと保たれていてほしいし、香港に行ったら必ず通い続けたいと思っています。

この雰囲気をなるべく損なわないように、そして常連のおじさん、おばさんたち、店の人になるべく煙たがれないように、相席した地元客などを観察してこの店の「勝手」みたいのものを少しずつ覚えました。

私は、広東語もまったく分からず、この蓮香居での朝飲茶歴7、8回の、ただの香港ファン観光客ですが、その「勝手」と個人的な留意点みたいなものを僭越ながら書いてみようと思います。

 

① 朝9時前には入店

だいたい7時台、8時台に行くことが多いですが、この時間帯はローカル度ほぼ100%。一人であれば、席も必ず見つかります。

だいたい9時を過ぎた頃からちらほら観光客も来店。席はほとんど埋まり店内はかなり賑やかになるので、地元のおじさんおばさんたちに紛れて比較的のんびりできるのは、経験上9時前ぐらいまで。

 

入口は2階、エスカレーターで。席は窓側の列沿いを。

  1階は菓子とお茶の売り場なので、エスカレーターで2階へ。ドアが開くと店内の奥まで見渡せます。最初はやや怯むぐらいの雰囲気。

店員は皆ベテランのおじさんとおばさん。たくさんいますが、入口で案内を待つ必要はなく、自分で店の奥へと進んで行きます。

空いている席を見つけたら、近くにいる店員のおじさんに「ここ、いいですか?」と身振りで聞いてから着席。

上の写真に「通路1」と「通路2」と書き込みましたが、これは点心を乗せたワゴンが通る通路。基本的に「通路1」から回りはじめることが多いので、「通路1」沿いの席を確保したほうが良さそう。

 

まずはお茶を注文。店員のおじさんに「ポーレイ」。

給仕のおじさんに身振りで「ここ、いいですか?」と聞いて着席すると、ほぼ同時に何かを聞かれます。

これはどうやら「お茶は何にする?」ということらしいです。地元客を観察してこれを学んだのですが、ここで「ポーレイ」と言っている人が多いので自分もそう言ってみたら上手くいきました。

ポーレイ = 普洱 = プーアル茶

です。これを堂々と言えるようになると、ちょっとだけ常連に近付けたような気がして、うれしくなります。

 

儀式:器をお茶で洗う

店員のおじさんに「ポーレイ」と言って、無事にプーアル茶を注文できたら、次はある「儀式」へ。テーブルの上には茶碗類がこのようにセットされています。

テーブル中央にある器も、上の写真ではお茶が入っていますが、はじめは空です。

この中央の器にお茶を注ぎ、自分が使う湯呑みや箸を洗います。これを初めて見たときは、何をしているのかちょっと意味がわかりませんでした。衛生状態があまり良くなかった昔の時代の名残りらしいですが、この店の地元客は皆この「洗杯」をしています。

上の写真では手で湯呑を持って洗っていますが、地元客の中には、器用に箸で湯呑を挟み、もう片方の手に持った急須でお茶を注ぎながら、器に手で触れることなく「洗杯」している人もいたりして、すごく様になっています。

敬意を表して、自分もこの「洗杯」を、ぎこちないながらも必ずやるようにしています。

動画もありました。

 

点心を見て選べるワゴン式。1人でもセイロごともらう。

ワゴン式飲茶の仕組みは簡単です。おばさんたちが引いてくるワゴンに載ったセイロの蓋を開けてもらい中を拝見。セイロの中に入っている点心を見せてもらい「これ、食べたい!」という場合は、着席時にもらったカードにスタンプを押してもらいます(会計時はこのカードをレジに持って行く)。ただ、「焼売2つだけ」といった取り方はできなくて、セイロごともらわなくてはならない場合がほとんど(中国風蒸しパン「馬拉糕(マーラーカオ)」などは大きいので1つだけでも取れる)。

セイロには点心が3つか4つ入っていて、1人で食べるにはちょっと量が多く、これが1人飲茶の不便なところです。

 

最初にまわってきた点心にがっつかず目当てを待つ

席に着いて「洗杯」の儀式を済ませたら「さぁ食べるぞ」と意気込むわけで、最初に回って来たワゴンの点心にがっついてしまいがちですが、目当ての点心でなかったらパスするのが賢明です。1人飲茶の場合は特に。というのも、例えば↑これは胡麻あんまんですが、1人で3つ全部食べたら、これだけでかなり腹がふくれます。1つだけもらうということはできないシステム。

最初からがっついてこれを食べてしまうと、後から目当ての点心のワゴンが周ってきたときに、食べられなくなってしまいます。

私の場合、目当ての点心は、透明な皮で包んだ海老餃子↓や、焼売↓などです。というか、日本人なら誰でも大好きな点心だと思います。

朝7時〜8時台は、点心を載せたワゴンはそれほど頻繁にはまわってきません。お目当てが来るまで30分以上待つこともあります。

でも、ローカル客を見ているとそんなことは意にも介さず、お茶をすすり、新聞を熟読し、時々思い出したかのようにワゴンを呼び止めて点心をとる程度。

お茶を飲みながら、お喋りしたり、新聞を読んだりするのがメインで、お茶請け程度に点心をつまむというのが本来の「飲茶」という習慣なのかもしれません。

 

常連に倣いローカルの新聞を持参。スマホはなるべく慎む。

朝飲茶の時間帯はとにかく新聞を読んでいる人が多いです。

特にマジメな新聞ではなくて、タブロイドっぽいローカル紙みたいです。ときどき、スマートフォンやタブレットを見ている地元客もいるので、別にマナー違反というわけではないのでしょうが、ここでスマートフォンをいじるのは何となく雰囲気にそぐわないようが気がして、なるべく控えるようにしています。

店に来る途中、路上で配っているフリーペーパーを持参、または店の入り口付近で新聞を売っているので適当なものを買い、それを持ち込みます。

前述したように、早朝はワゴンがまわってくる頻度が少ないので、少なくとも1時間は店にいます。ワゴンを待っている間、とくに1人飲茶の場合は、間をもたすためにも新聞などの読み物は必需品です。

 

⑧ 急須が空になったらお湯を注いでもらう

ひっきりなしにお茶を飲むので、1人でも急須が空になります。

そのときは、やかんを持ったおじさんにお願いしてお湯を注いでもらいます。店内には、温まったやかんが常にスタンバイ↓お湯を注いでほしいときに、近くにやかんを持ったおじさんがいなかったら、急須の蓋を開けてずらしておくのが作法のようです。すると何も言わなくても気づいてくれ、お湯を注いでもらえます。どこかでこれを読んで実際にやってみたところ、ちゃんと注いでもらえました。

 

⑨ ティッシュ持参

テーブルにはナプキンの備え付けがないので、ティッシュを持参。

器を洗う「洗杯」のときや、お湯を注いでもらうときなどに、お湯がはねてテーブルがすぐ濡れてしまうので、ティッシュがあると便利。

ウェットティッシュもあれば尚いいと思います。

 

他にこんな点心もあります。

セイロの奥にあるのが中国風蒸しパン「馬拉糕(マーラーカオ)」。これは、大きいので1つからでも取れます↓チャーシューメロンパン↓。日本と同じようなメロンパンの中にトロリとしたチャーシュー。「ありえない!」と言わずに一度は試してみる価値あり。

ふつうの肉まん↓。一人でもいける量(2ヶ)と大きさ。餡のとろみが醍醐味。

 

勘定の目安。4〜5種類とって約120香港ドル

ワゴンから点心をもらったらその都度スタンプを押してもらい、会計時はそのカードを持ってレジへ。点心の種類によって値段が違うようですが、細かい料金はわかりません。自分の場合、だいたい1人で4〜5種類とって、会計は120〜130香港ドル(約1900円)。

もちろん、複数人で行ったほうが断然リーズナブルになります。

おそらくカード払いはできません。交通系ICカード「八達通(オクトパスカード)」は、読み取り器があったので使えるものと思います。

(おわり)

 

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