ローマからアッシジまでは電車で片道約2時間。本数は少ないですが、ローマ早朝発の電車に乗れば、日帰りも十分可能です。
検索結果の上位に出てきたのは「FlixBus」。
ここ数年よく見かけるようになったドイツの格安長距離バス会社ですが、ローマ〜アッシジ間は直通で結んでいないのに検索結果上位。
検索結果の5番目にぐらいに出てきた「Sulga」というイタリアのバス会社も一応のぞいてみましたが、所要時間は片道3時間、本数も電車と大差なく、メリットがなさそうなのでやめました。
電車の時刻表は、
www.trenitalia.com
で簡単に調べられます。英語表記にも切換え可能。
これを書いている2019年6月現在、
ローマ〜アッシジを日帰りするなら往路の電車は↓この各駅停車1択。
<2時間9分、€10,95>
Assisi 10時07分着(日曜は10時34分着)
午前中の直通電車はこれ1本。他はすべて乗換えが必要で面倒です。
復路も、乗換えなしの直通は2〜3本(日曜は少ない)。特急電車はないわけではないのですが、旅行者が使いやすい時間帯は各駅停車しかありません。
いずれにしてもまずは、先述のイタリア鉄道のサイトの時刻表から予定を組み、チケット購入は、各駅停車は指定席がないので、当日購入でも問題ありません。
車内には修道服を着たシスターも
アッシジを訪れたのは5月の日曜日。先述の朝8時ローマ発の電車に乗ると、車内には修道服を着たシスターがたくさんいました。
アジア系や黒人のシスターも少なくなく、世界中からこの聖地を目指して来たことが窺えます。(帰りのアッシジ〜ローマの車内↓はどういうわけかシスターたちが少なかった)往路の電車では、アジア系のシスター2人組と相席になりました。出身地を聞いてみるとベトナム。ローマに5日間ほど滞在中で、そこにアッシジ巡礼も組み込んだということでした。
まずカトリックの総本山バチカンを訪れ、そこから聖地アッシジまで足を延ばすというシスターが多いようです。
アッシジ駅から旧市街まで
バス停の近くにあった観光客、巡礼者用の↓地図。駅から旧市街までは約2,5km。(拡大地図はこちら)電車がアッシジ駅に到着すると、旧市街へ向かってすぐに歩き始めるシスターもいましたが(距離は2,5km)、ほとんどの観光客は駅前のバス停へ。バスは平日も休日もほぼ30分に1本。
このアッシジのように、町の小ささのわりに観光客が多いところではみんな目的地もそこへの行き方も同じになるのでその「波」に乗っていればよく、「このバスでいいの?」「ここで降りて大丈夫?」といった心配がなく、その意味では安心感があります。
日曜日でしたが駅構内のバールは営業しており、ここでバスの切符を1人2枚(往復分)買いました。
バスに乗り、丘の上にある旧市街がだんだん見えてきます。駅から約10分で広場(↓写真)に到着。バスが止まる広場は大きい駐車場。ここで帰りのバスの時刻表をチェック。
この広場にある門「Porta S.Pietro」が、旧市街観光のスタート地点。
聖フランチェスコ聖堂内はピリッとした雰囲気
訪れたのは5月の日曜日。
日曜日の朝はミサのため聖堂内には入れない、とどこかで読んだので半ば諦めていたのですが、11時30分頃に行くと中に入ることができました。一般的に教会の中では「露出が多い服は避ける」「写真撮影は控える」とされていますが、教会によっては実際にはそこまで厳しいチェックをしていなかったりするところもあります。
が、この聖フランチェスコ聖堂はかなりピリッとした雰囲気で、観光客の声のトーンが上がり聖堂内が少しでもざわざわすると、
「Silenzio! Silence!」
と修道士が注意します。もちろん写真撮影も厳禁。
聖堂内に回廊があり、ここは写真撮影OKでした。ピリッとした雰囲気の聖堂内を見た後では、修道士→日々の厳しい修行(?)といった勝手な連想につながって、つい修道士の方々を写真におさめてしまいました。
街としても美しいアッシジ
カトリックの聖地として世界中から巡礼者が訪れるアッシジですが、街としてもとてもきれいなところです。
丘の上にあるので、ところどころに見晴らしのいいスポット。
あと気になったのは、玄関に花や植物を置いている家や店が多いこと。
欧州の男性名フランソワ(仏)、フランシスコ(西)、フランツ(独)の”もと”
アッシジが聖地なのは、聖人フランチェスコゆかりの土地だからです。
このフランチェスコがどういう人なのか、ガイドブック的な記述だと日本の歴史と違って前提知識が不足しているため、自分にはどうも頭に入ってきません。。
個人的にイタリア美術の入門書としている塩野七生著「ルネッサンスとは何であったのか」では、聖フランチェスコを、硬直化していた中世キリスト教会の異分子で「ルネサンス人」の一人、と説明しています。塩野七生の代表作「ローマ人の物語」は三度は挑戦しましたが途中で挫折。。でもこの「ルネッサンスとは何であったのか」は、対話形式でとても読みやすいです。
この本の中の聖フランチェスコに関する記述をいくつか。
- アッシジ出身の父親とフランス人のハーフであり、フランチェスコという名前自体「フランス人」という意味。
- 欧米の人名は似通ったものが多いが、仏語「フランソワ」、独語「フランツ」、西語「フランシスコ」はすべてこの聖フランチェスコからの派生。
- キリスト教の教えを、知識階級の国際語「ラテン語」ではなく、当時は俗語だったイタリア語で庶民に説いた。
- 自分たち以外の宗派や修道会を非難せず、選択の自由を信じていた。
- が、キリスト教のみが正しいという一神教徒ではあり、イスラム教徒を改宗させるために、戦地パレスチナへ出向いたことも。
- その戦地で、修道衣にサンダルだけの丸腰でイスラム陣営に出向き、狂人と思われ送り返された。
なかなか興味深い人物のようです。
イタリア人の名前は、姓のほうは地域によってもかなりバリエーションがありますが、下の名前はほぼ決まっていて、日本の子供名前ランキングのような世相を映した名前のようなものはありません。
私の電話の連絡先にもフランチェスコは4人程いて、それもこの聖人からとったものであると考えると不思議な感じがします。
(おわり)