(アジア大都市に比べ)意外と高くないイタリアのホテル
香港やシンガポールのホテルを予約サイトで見ていると、値段の高さにあきれます。この両都市は、ホテル代が世界一高いと言う人もいて、データ的に本当に世界一かどうかは分かりませんが、少なくとも東京やイタリア、欧州の中都市より高い気がします。
ネットで「世界一ホテルが高い都市」などで調べるとおそらく、NYや北欧などが出てくるのかもしれませんが、香港・シンガポールは、実体験として、1部屋1万円以下クラスのホテルのコスパが悪いように思います。
この2都市にありがちな「恐ろしく狭い」というのは、個人的には窓があれば許容できますが、水回りなどの衛生面にアジアの悪い部分が出ていると嫌になってしまいます。
↑ミラノ Hotel Principe di Savoia の客室↑
イタリアはどうかといえば、これまで何回も日本のビジネスホテルの価格帯の宿に宿泊してきましたが、水周りとリネン類はいつも清潔。香港・シンガポールなら格安ホテルに相当するこの価格帯でも、衛生面で不快な思いをしたという経験はほとんどありません。
数年前に日本から家族が来て主要都市を周遊した際、ブティックホテル、B&B、欧州系チェーン(UNA HOTELや、ACCOR HOTELS)、そして5つ星と、各種・各ランクのホテルに泊まりましたが、総じてコスパの良さを感じました。
中でも、ミラノ「Principe di Savoia」は、ヨーロッパの正統クラシックホテルの雰囲気、欧州ホテルにありがちな老朽化した設備ではなくリニューアルされた内装、さすがと思わせてくれるサービスで、これが5月末という観光ベストシーズンでも1部屋約3万円から。もちろんいい値段ですが、アジアで幅を利かす高級ホテルチェーンと比べると割安感さえあります。
メーターを下ろさないタクシー運転手
というわけで、ミラノ「Hotel Principe di Savoia」での滞在を満喫し、チェックアウトからミラノ中央駅へ向かうときのこと。距離は約1kmですが、スーツケースが複数あったのでタクシーに。ホテル入り口には勿論ちゃんとしたベルボーイがいて、タクシーも回してくれます。
短距離で申し訳ないなと思いつつ、ミラノ中央駅、と行き先を告げます。が、しばらくしてもメーターを下ろしません。どう見てもメーターの表示料金が上がっていかないので、運転手に言うと、ぶつぶつ言いながら下ろしました。
スマートフォンで話しながら客を乗せて走る運転手もいるぐらいなので、自分としては大して驚きませんでしたが、降車後に、同乗していた家族(運転手と自分が会話を交わしただけと思っていた)にそのことを話すと、不満を露わにしました。
いわく、「格式あるホテルなんだから、客を無事に見送るところまで気を配って然るべき。ホテルの敷地内に入ってきているタクシーなんだから、ドアマンがこういうことが起こらないよう運転手に釘をさしておく、ぐらいはしないと。言葉がうまく通じない旅行者だったら泣き寝入りすることになる」。
まぁ、平均的に質が高い日本の「サービス」の感覚からすると正論なのかもしれませんが、いくらホテルの敷地に入れているとはいえ、タクシー自体はホテルサービスの管轄外なのだからどうしようもないけどな、と自分は思っていました。
香港フォーシーズンズホテルから乗ったタクシー
約1年後、香港フォーシーズンズホテルに宿泊する機会があり、チェックアウト後、同じようにタクシーに乗ることに。
ホテルの敷地内にタクシーが入ってきているのは同じですが、乗車ポイントが2つあり、それぞれに列が。よく見てみると、1つは宿泊客専用のタクシー乗り場になっていて、ベルボーイが宿泊客から行き先を聞き、それを直接運転手に伝えてくれています。
自分も、ベルボーイに行き先を告げると、ペンで何か素早くメモしたものを渡されました。そこにはタクシーのライセンス番号が書かれていて、降車後何か問題があったらホテル側に言ってください、とまでは明記されていませんが、おそらく頼めば引き受けてくれるものと思われます。
何より、タクシー運転手の方もこれが抑止となり、そんなに悪さはできないでしょう。よく考えられているな、と感心しました。
で、ミラノのホテルから乗ったタクシーの話に戻ると、いくらホテルサービス管轄外のタクシーであっても、このようなちょっとした工夫だけでトラブルを回避できるわけで、自分の家族の言い分も無理な注文でもないのかなと思ったりしました。
(おわり)