ほぼ、出落ちというか、タイトル落ちになりそうです。
「フェンディ家邸宅」と「ミシュラン星付き」という2つのワードが強すぎて、あとは写真を見れば、余計な説明なしで行ってみたくなる店だと思います。自分がそうでした。
建物は、フェンディ創業者の一人アンナ・フェンディが住んでいた邸宅で、1911年、 Armando Brasini という建築家による設計。約100年前なので、ローマにしては新しい建物。
2013年に、ローマ北西の町ヴィテルボにあったレストラン「Ristorante Enoteca la Torre」がこの邸宅に移転してくるかたちでオープンしたそうです。
- 店名:RISTORANTE ENOTECA LA TORRE
- 場所:地下鉄A線「Lepanto」駅から800m。テヴェレ川沿い
- 住所:Lungotevere delle Armi 22, Roma 00195(Googleマップで)
- 休み:日曜日、月曜日の昼食
- 店のサイト:www.enotecalatorreroma.com
地下鉄A線で、中央駅にあたる「テルミニ」駅から5つ目の「Lepanto」。駅からは徒歩10分弱。最寄りのモニュメントは「ポポロ広場」で、1,5km。
私のような旅行客でも十分にカバーできるエリア内でした。
2種類のコース
店のサイトにある通り、コースメニューは2種類。
- Menu “Journey with Eyes Closed”(5皿、95ユーロ)
- “Excursion” Menu(7皿、130ユーロ)
5皿の方をとりました。
平日の昼は、ビジネスランチもあり、
- アラカルトメニューから2皿
- グラスワイン
- 水
で、60ユーロ。
サレルノ産の5種類のレモンを使ったリゾットなど
邸宅の玄関から入って、通路を少し歩き、
こんな雰囲気の広間に案内され、席に着きます。
まず、前菜が2皿。皿の中央に置いてある「巻き物」の中のクリームがカルボナーラ風。全体を通して、ローマを感じるものはこれだけだったような気がします(Domenico Stileシェフはナポリ出身)
もうひとつの前菜。
そして、アマルフィ産レモンのリゾット。5種類のレモンを使用と言っていたように記憶しています。他には、貝、アスパラ、水牛のヨーグルト。ナポリの南に位置する港湾都市、アマルフィやソレントは、レモンやリモンチェッロ(レモンのリキュール)の産地として有名。
今回のラインナップで、このリゾットが一番インパクトある味でした。写真で見ても「照り」が独特で、今後このレストランを思い出すとき、真っ先に思い浮かぶのがこの一品になりそうです。
続いて、これも凄かった。タレッジョチーズ&半熟卵&黒トリュフ。
メーン料理は、仔豚 & 小豆 & 揚げポレンタ。ソースは、リクイリツィア風味。イタリアでは、飴やリキュールなどにも使われる薬草です。
デザートは、「シェフがお客様それぞれに別々のものを」と、2種類でした。
一息ついていると、もう一皿のデザートが。シャーベットです。このあたり、疲労のためあまり覚えていなくて、店のサイトで確認すると、オレンジとノコギリソウのシャーベット &「パスティエラ」のクリーム、とありました。
「パスティエラ」はナポリの伝統菓子らしいのですが、自分はこれを書く際に調べて、知りました。勉強不足。
まだ終わらないんです。最後の最後に、軽くつまめる数種類の菓子。ナポリの「ババ」(写真の一番左)や、シチリアの「カンノーロ」(写真の一番右)など。
写真はありませんが、途中で10種類近くのチーズが載せられたワゴンが来て、チーズタイムみたいなものもありました。おすすめに従って、普段食べる機会がないフランスのチーズを選びました。
マダム・フェンディ セレクションワイン
ワインはとても好きですが、味の違いなどはあまり分かっていなくて、やっぱり万人受けするような分かりやすいワインが美味しいと感じます。
最近、食前酒の定番「プロセッコ」(ヴェネト州産・白の発泡)が好きで、食中でもこれをよく飲んでいます。
輸出量も多くイタリアを代表するメジャーなワインの1つで、こういう店では食事の前に一杯だけ出されるぐらいで、食中はもっと凝ったワインにするのでしょうが、気張ってもしょうがないので、ワインリストを渡されたときに「プロセッコはどれですか」と聞きました。
すると、とても感じよく説明してくれました。
「食前酒として提供しているものが1本、そしてこちらの『マダム・フェンディ セレクション』の中にも1本あります」
ワインリストの最初のページに、マダム・フェンディ、つまりこの邸宅の持ち主であったアンナ・フェンディが選んだ21種類のワインがあり、その中にプロセッコも。
後で調べてみたところ、「AFV」= Anna Fendi Vini というプロジェクトで、アンナ・フェンディ本人が、イタリア全国から21のワイナリーを選び、オリジナルのラベルと共に限定生産したワイン、ということみたいです。
ワインの名前に、キャットウォーク、プリーツ、フランネルなど、ファッション用語がつけられています。
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こちらの豊かでない感性で、個人美術館のような雰囲気の中で出される「作品」を鑑賞しながら味わおうとするので、頭がくらくらしてくるようなときがありました。
最初のデザートを食べ終わる頃には、何というか、へとへとでした。イタリアの美術館に行くと、美術に無知ながらも神経を集中させて鑑賞するので、えらく疲れます。そんな感じの疲れがありました。
(おわり)