マドリードにあるタコ料理専門レストラン2軒、
「La Pulperia de Mila」
「La Pulperia de Victoria」
昼夜と続けて行ってみました。
2軒とも店名は「La Pulperia」(ラ プルペリア)から始まっています。
カフェを飲むところを「カフェテリア」と呼ぶように、プルポ(=タコ)を食べるところなので「プルペリア」。下調べ中これに気付き、行ってみようと即決しました。
ミッションは「ガリシア風タコ」
調べてみると、スペインの北西部ガリシア地方はタコ料理が有名らしく、
Pulpo a la gallega
タコのガリシア風
が定番料理ということなので、これをミッションとしました。茹でたタコとジャガイモ、味付けはオリーブオイルとパプリカのパウダー。
仏・伊・西は、何となくひとくくりに地中海圏というイメージを持っていたのですが、スペインとフランスは大西洋にも面しているわけで、ガリシア州というのはその西の端。
「古代ローマ人が、知り得る世界の果て、と考えた場所」(wikipediaより引用)というのが、地図をみるとよくわかって面白いです。ローマを中心にみると本当に端っこ。
タコ料理専門店なんて、例えばイタリアの内陸部に住む人にとってみれば想像も及ばない飲食店の形態ですが、地図を見るとそれだけ異文化であってもおかしくないと納得できます。
1軒目「La Pulperia de Mila」
店名:La Pulperia de Mila
最寄りの地下鉄駅:Retiro(2番線)
住所:Calle de Lagasca 11, Madrid 28001(Googleマップで)
サイト:lapulperiademila.com
高級ブティックなどが多く上品で環境のいい地区にあり、落ち着いて食事をするちゃんとしたレストラン。
1人で行くのはそぐわない店ですが、最近はツラの皮が厚くなってきて、外国人観光客だし店に迷惑がかからないようお行儀よくすれば問題ないはず、と思うように。
混む前の早めの時間に入ってさっと済ませたいところですが、マドリード着が14時だったため、店に着いたときは15時30分頃。
スペインの昼食時間は14時〜らしいので、ほぼピークの時間帯。しかも日曜日でした。店の外から中の様子を窺うと、奥のテーブルはかなり埋まっていて、店員もみな忙しそうです。
ちょっと厳しいかなと思ったのですが、入口付近に目を移すと、カウンターでワインを飲みながら何かつまんでいる二人組がおり、近くに高いテーブルとスツールの席(写真↓)もあります。マドリードでは(おそらくスペインでは)、バールに見える店でも奥の方にレストランエリアがあり、レストランに見える店でも入口付近は軽く飲んだりできるバーエリアみたいになっていることが多いようです。
この入口付近のバーエリアなら1人でも行けるかも、と思い入店。1人で入ってきた私を見た店員のリアクションは一瞬「?」でしたが、1人でこのテーブルで大丈夫?、と身振りで聞くと、わりと快くOKしてくれました。
メニューの中から「ガリシア風タコ」を探します。スペイン語、英語併記。Galician Style Octopus with cachelos
Pulpo a la Gallega con cachelos
「cachelos」はガリシア地方のジャガイモのようです。
メニューの拡大写真はこちら
メニュー1拡大
メニュー2拡大
メニューをみると、タコ料理専門店というより「シーフードレストラン」。ガリシア風「merluza(タラ科の白身魚)」なんかも気になります。
値段が「€12」と「€19」となっていて、前者は半分の量。これは1人にはありがたいと思って注文すると、たしかに控えめな分量。白のグラスワインもとったのですが、これがとても美味しかった。ちょっと辛そうに見えますが、パプリカのパウダーなので辛味はなし。ジャガイモがタコによく合います。
日本で食べるタコに比べ、歯ぎれのよさが独特なように感じました。茹で方に違いがあるのかもしれません。
トイレへ行くときに撮った、店内奥のテーブル席の写真。会計は、
ガリシア風タコ:€12
グラスワイン:€3,3
合計:€15,3
テーブル席ではなく、入口付近のバーエリアでの飲食はテーブルチャージがかからないようです。
率直な感想としては、このガリシア風タコ、メーン料理として食べると少し物足りない気がしないでもありません。これがいわゆるタパスとして手頃に食べられたらかなりいいだろうなと思いました。
2軒目「La Pulperia de Victoria」
店名:La Pulperia de Victoria
最寄りの地下鉄駅:Sol(1・2・3番線)
住所:Calle de La Victoria 2, Madrid 28012(Googleマップで)
サイト:www.pulperiadevictoria.com
タコ料理の専門店があるのなんて、おそらく日本とスペインぐらい。そう思い、昼に食べたばかりですが、夜も別のタコ料理店へ。この2軒、系列店とかではありません。
こちらの「La Pulperia de Victoria」のほうは、マドリードの中心地「ソル広場」から歩いて数分という立地。
でも、この立地がレストランにとって必ずしも好条件であるかは分かりません。中心街から外れたちょっと奥まったところにある店のほうがいい店だったりすることのほうが多い気がします。人も多く、他にもレストランが連なるガヤガヤした通り。1軒目とはだいぶ雰囲気が違います。
落ち着いて食事をとるなら断然1軒目の「La Pulperia de Mila」ですが、こちらは軽くさっと食べたいときなどに使えそう。
この店は、入口付近のバーエリアが広く設けられています。奥の方にちゃんとしたテーブル席もありますが、私が入店した18時は、飲食できるのはバーエリアだけでした。5〜6人の男性グループ(スペイン人ではなかった)が結構酔っていて、話し声や笑い声がかなりうるさく、そのせいでこの店の印象もややマイナス。
店員も何となくアルバイト風で、あまり期待せず1軒目と同じく「ガルシア風タコ」を頼んだのですが、ちゃんと美味しかった。ここの「ガリシア風タコ」はジャガイモが入っていませんが、味付けは1軒目と変わらないように感じました。
「ガリシア風タコ」の1軒目でのメニュー表記は、
Pulpo a la gallega
↑スペイン語
ここ2軒目では、
Pulpo a feira
↑ガリシア語Tapa
Ración
Doble
と書かれていて、これは分量のこと。「Tapa」はタパスの単数形のことらしく、よってタパスの分量。おもしろいです。
そして、
Ración ← 大皿
Doble ← ダブル
と思われます。
タコだけではもの足りず、メニューを眺めていると、1軒目で覚えた単語を発見。
Cachelos = ガリシア地方のジャガイモ日本で食べているものとは明らかに別種のジャガイモ。味付けは、パプリカパウダー、オリーブオイル、塩。
1軒目では、このガリシア地方ジャガイモが蛸と一緒に入っていて気付きませんでしたが、丸ごと調理されたものを食べてみるとその美味しさがよくわかりました。
こういう基本野菜のシンプルな料理が美味しいあたりにスペイン料理の選手層の厚さを感じます。
会計は、
ガリシア風タコ:€11,5
ガリシアジャガイモ:€2,75
グラスワイン:€2,5
グラスビール:€1,45
合計:€18,2
メニューの拡大写真はこちら
英語メニュー
スペイン語メニュー
イタリアのタコ料理
とにかく、タコ料理専門レストランというのが成立するのが素晴らしいと思いました。
イタリアでは聞いたことがありません。
ミラノに、ムール貝料理専門店があると聞いたことがありますが行ったことはありません。
でも、タコを食べる文化がないというわけではなく、南イタリアにはちゃんとタコ料理があって、代表的なのがこれ↓↓特に決まった名前はなくて「タコのサラダ Insalata di polpo」などと呼ばれることが多いです。
ガリシア風タコと同様、ジャガイモ和え。味付けはまずオリーブオイルにレモン汁。ここまでは普通ですが、最重要ポイントはイタリアンパセリ(prezzemolo)。
香りは普通のパセリと全然違っていてこれが魚介類に異常に合います。これを入れなかったら平凡な「タコのジャガイモ和え」ですが、これを入れることによって別物に。
個人的にかなり好きなイタリア料理の1つですが、食に保守的なイタリアでスペインのようなタコ料理専門店を成立させるのはなかなか難しそうです。
(おわり)