パルマの中心街「ガリバルディ広場」から約300m、美食の街の定番店「Trattoria Corrieri」について、です。
トリップアドバイザー(イタリアには食べログのようなサイトがない)やGoogleのクチコミ件数が多く、おそらく外国のガイドブックにも掲載されている有名店だと思います。
実際に行ってみると、客層やメニューから、パルマの伝統的な家庭料理を出す「定番店」という印象を受けました
店名:Trattoria Corrieri
場所:ガリバルディ広場から約300m、パルマ駅から1,6km
住所:Str. Conservatorio 1, Parma 43121(Googleマップで)
サイト:www.trattoriacorrieri.it
外観からもうかがえますが、かなり広い店で、従業員も多いです。
ホームページもしっかり数カ国語に翻訳していて外国人観光客も多く、トラットラリアでは珍しいテイクアウトもやっていたり、営業時間も昼休みなしだったり(これもイタリアでは珍しい)と、フィレンツェなど大観光都市の有名店のような手堅い経営をしているようです。
別に辛口レビューをしたいわけでも何でもないのですが、個人的には、もう少しこじんまりとした家庭的な雰囲気が残るトラットリアのほうが好きです。12時15分頃に入店すると、もうすでに地元のビジネスマン風と自由業風の紳士ふた方が(↓写真)。イタリアの昼食は13時からなので、その時間を避けて一人で来る常連が多いのはやはり老舗という感じがします。店内は広いですが、隣とのテーブル間隔は近いです。私のテーブルは入口付近の小部屋(↓写真)でしたが、奥には大広間があり、かなりのテーブル数。
前菜メニューの生ハム類、さすがの充実度
イタリアの一般的なトラットリアやレストランなら、前菜(アンティパスト)メニューの中にたいてい生ハム(プロシュート クルド)があります。
パルマ以外の街でも、パルマの生ハム、と明記して扱っている店も多いです。
では、ここ本場パルマの老舗トラットリアではどうなっていたかと言うと、生ハムを始めとする各種サラミ類のバリエーションがさすがの充実度でした。
前菜メニューのページ(↓写真)は、一番上の2品を除いてすべて生ハムやサラミ類。① Prosciuto di Parma オーソドックスな、いわゆるパルマ生ハム。
② Culatello di Zibello DOP 生ハムの最高峰「クラテッロ」。豚の尻の、足の付け根部分だけを使用し、規定の製法で、パルマ県Zibelloとその周辺の7つの村で作られたものだけが「クラテッロ」を名乗れます
③ Strolghino di Culatello その「クラテッロ」と同じ部位で作るサラミ。日本人がイメージするところのあの細長いサラミです。(日本語では「ストロルギーノ クラテッロ」で検索できます)
④ Pancetta steccata con legni これはパルマ特産というわけではないのですが、個人的な次回へのメモとして。「ベーコン」と説明されることが多い「Pancetta」。木の板で挟んでプレスして(←画像検索)熟成させた脂身の多い部位。私は、普段、肉料理の脂身を残すぐらいで苦手なのですが、イタリアの「pancetta」はまろやかで風味豊かで、ベーコンとは別物。
☆
この日はパスタだけで済ませるつもりだったので、生ハム類は何もとりませんでしたが、ここまでのバリエーションは他の街のトラットリアにはなかなか無いもので、さすがパルマと思いました。
生ハムの最高峰、②「クラテッロ」は他の街の食材店やスーパーでもおいてあることがありますが、それを作る過程でできるサラミ、③「ストロルギーノ ディ クラテッロ」の方は見ることが少ないです。
クラテッロのタリオリーニを注文
パルマ、モデナ、ボローニャ、フェッラーラなどは「エミリア・ロマーニャ州」の中の「エミリア地方」と呼ばれていて、似たような郷土料理に異なった名前が付いていたりします。
なので、他のエミリア地方の街にない、パルマでしか食べられいようなパスタにしようと思い「Tagliolini di Culatello」をとりました。先述の生ハム「クラテッロ」のタリオリーニ。パスタは手打ちらしく、もっちり。生意気なことを言わせてもらえば、よくある生クリームソースのパスタで、無難に定番パスタを選んだほうがよかったかなとも思いました。
パルマの定番は「Cappelletti」という詰め物系パスタ(写真↓真ん中)。ワンタンのような要領でスープと一緒になっています。
店のホームページでも写真付きで、一押しメニューのようなかたちで紹介されています。これは、形こそ違いますが、ボローニャやモデナのご当地パスタ「トルテッリーニ イン ブロード」とよく似ています。
揚げパン「Torta Fritta」を追加で注文
パスタを食べ終え、メーンの肉料理を食べられるほどではないけれど、これでシメるのもちょっと物足りない感じがしたので、前菜に戻ってこれを注文しました。Torta Fritta(トルタ フリッタ)。要は揚げパンで、本来、生ハムなどと一緒に食べるもの。
先に写真を載せたメニューの前菜ページの一番上(写真内に★マーク)。
トルタフリッタは、同じエミリア地方の街モデナでは「ニョッコ フリット」と呼ばれていて、これは以前食べたことがあったので、どう違うのか気になり、とってみました。中は空洞なので、見た目ほどボリュームはありません。モデナで食べた「ニョッコ フリット」より少し軽く感じましたが、これは店による作り方の違いかもしれません。
3つ食べたところで満腹。がんばって完食するか、残すか、迷っているところに、テーブルを担当してくれた店員さんが「持ち帰り用の箱に詰めましょうか」という有難いオファー。こんなにしっかりとパッキングしてくれました。
会計は、
クラテッロのタリオリーニ €11
トルタフリッタ(揚げパン) €5
1/4リットルのハウスワイン €4
coperto(テーブルチャージ) €2
22ユーロ(一人)でした。
マルチな魅力、パルマという街
パルマは、タレント揃いの北イタリアの小中都市の中でも、およそウィークポイントが見つからないマルチな都市だと思います。
グルメ:★★★ ここでも紹介したような美食の街
音楽:★★★ ヴェルディを輩出したオペラの街。オペラ劇場「テアトロ・レージョ」も有名
美術:★★★ ミシュランガイドによると、洗礼堂は「その造りと彫刻、彩色装飾のため、イタリアで最も美しいもののひとつ」。国立美術館には「トルコの女奴隷」も。
経済:★★★ 実際のデータや指標は知りませんが、街並みや街行く人々を見れば裕福な街であることがすぐに分かります
イメージ:★★★ 「アクア ディ パルマ」という香水メーカーがあり、意味は「パルマの水」。街の名前を香水メーカーの社名にできるほど、何となく高貴なイメージ
イタリア人は郷土愛が強いので、日本の「住みたい街ランキング」みたいなものが成立しないのかもしれませんが、本音ではみんなパルマのような街に住みたいのでは?という気がします。
そんな街です。
(おわり)