「イタリアにはスタバがない」と言えるのも2016年まで




5~7€で何が食べられるか

あらゆる形態、価格帯の外食産業が発展している日本では、一人暮らしの場合など特に、自炊してもそこまで節約にならないぐらい安く外食で済ませることができる。牛丼、ラーメン屋のチェーンだけでなく弁当屋や定食屋など、500~700円で食べられるものの選択肢が本当に豊富。

イタリアで5~7€で何が食べられるか。ほとんど、ろくなものが食べられない。パンにハムを挟んだだけのパニーノが安くて3,5€。オーダーしてから作るのでなく、作りおきして陳列されているものをそのまま出すところもある。それにペットボトルの水を追加したらすぐに4,5€。コーラなど缶のソフトドリンクを頼んだら、少なくも1,5€する。

今のレート(1€=118円)でこそ、そこまで高く感じないものの、2010年頃の平均レートは感覚的に1€=130円。そうすると 4,5€は約580円。

しかも、パニーノ、大して美味くない。昔ときどき食べていた日本のドトールコーヒーのミラノサンドの方が手が込んでいるし、ちゃんと作りたてのものを食べられるのでおいしいと思う。(*ただし、フィレンツェの「もつ煮サンドイッチ」は本当に素晴らしい。今やケバブ屋がイタリア全土に普及したが、どうしてこれを他の地域に進出させないのか)

いま改めてドトールのサイトを見たら「ミラノサンド(B) アボカドとエビ」が480円。ふつうに美味しそうだし、これが480円(約4€)というのは、イタリアでの感覚からするとすごいコストパフォーマンス。

 食事を手早く済ませたい時の選択肢がない

例えば、昼食を手早く済ませたい時などの選択肢が、バールでパニーノ、切り売りのピザを立ち食い、などしかなく外食店の形態が本当に限られている。というか、ピザ屋、普通のレストラン(トラットリア)、高級レストランしかない。

食欲があまりないから蕎麦屋に入って手短にそばをすすろう、とか、ちょっとだけ寿司をつまみたいから回転寿司へ、とか、少しでもバランスの取れた食事をとりたい時の定食屋、とか、そういうバリエーションがない。

日本贔屓にみれば、様々な価格帯、形態でそれなりのクオリティーのものをいつでも食べられる日本の方が食環境が充実していると言えるし、イタリア贔屓にみれば、食事は定型を守り、新しい業態の外食産業も受け入れないという保守的な部分が、イタリアの食文化を守っている、と言えるかもしれません。

食に対しては融通が利かない

日本人は生真面目、細かい、閉鎖的、イタリア人は適当、フレキシブル、オープンというのがおおよそ定番のイメージかと思いますが、イタリア人は食に対しては本当に融通がきかない。

例えば、昼食は13時、夕食は20時ときっちり決まっていて、レストランなどは、15分早く来れば空いているのに、みんな揃って20時以降にやって来る。

中華、日本食レストランに行っても、とにかく1人1皿制。みんなで適当に数皿を頼んで、シェアしてつつきながら食べるということができない。

朝食は、決め打ちで甘い物 (クロワッサンやビスケット)、アジア的な主菜、副菜が揃ったものはもちろん、サンドイッチすらNG。彼らの朝食は、アジア人から見ればおやつのよう。

そんな感じなので、新しい形態の外食店が受け入れられることはほとんどない。それが、自国の料理から発展させ た形態であっても。例えば、日本のチェーン系カレー店のようなシステムでもって、イタリア各地域の(←ここが重要)各種パスタを5ユーロで出す店、みたいなのがあったら行きたいけれど、無理だろうな。

先進国で唯一(?)スターバックスがない国

ただ、スターバックスコーヒーがイタリアには1店もない、というのは大したものだと思います。街を歩いていれば日本のコンビニぐらいの割合で遭遇するバールが、ほぼすべて個人経営で、どんな小さいバールでも常連のおじさんみたいな人がいる。

そういう「地域に根付いた」という一言では表せないぐらい深いバール文化が、チェーン店ましてや外来のものなどを受け入れるはずがない。

おそらく先進国では唯一スターバックスがない国で、自分の母国ではないのに何となく誇らしげに感じていましたが、それも今年まで。2017年初頭にミラノにオープン、と公式のアナウンスがあったみたいです。