なぜイタリアで感染拡大? 「体感」としての理由は危機意識

なぜイタリアでここまで感染拡大したのか。一応、感染者が集中する北部3州で生活する1人として、あくまで「体感」として思い当たった理由、

(市民レベルでの)危機意識の低さ

について書いてみようと思います。

 

状況が激変した週末(2月22日、23日)とそこからの1週間

2月21日 ロンバルディア州(ミラノが州都)の小さな町コドーニョで男性の感染を確認

2月22日(土) 周辺11の自治体を封鎖

2月23日(日) 感染100件超(https://www.afpbb.com/articles/-/3269774)

この週末で本当に状況が激変しました。それまでは、まだ「他人事」という空気だったことをよく覚えています。

自治体の対応は迅速。

ロンバルディア州のとなり、自分が生活するエミリアロマーニャ州でも翌日の2月24日(月)からの全校休校を急遽決定。

この頃日本ではクルーズ船が大問題となっており、自分はこの少し前から(平均的な日本人と同様程度に)コロナに対して怖いなと思っていました。

そこにきて、封鎖された11の自治体は自分の町から電車で約1時間半ぐらいの距離なので、やばいな、と。

で、この週の木曜日(2月27日)にアメリカ出張から戻ってきた友人とメッセージのやりとり。

友達:「あした、イタリアに帰るよ」

:「あ〜、この状況のイタリアに帰ってくるのに『お帰り』と言っていいのかどうか。。」

友達:「ハハ、そうだね。でもアメリカでもロンドンでも、コロナについて誰も話題にしていないよ」

:「たった1週間前のイタリアもそうだったけど。。」

同じく2月27日、ローマ空港で働いている知り合いと電話で会話する機会がありました。

:「空港の様子はどう?」

知り合い:「人が少なくなり始めた。アジア人の利用者はマスクしている人が多い」

:「空港で働いている人たちは?」

知り合い:「大して心配していない人がほとんど。マスクもほとんどしていない」

:「なぜ心配じゃない?」

知り合い:「結局、通常のインフルエンザとあまり変わらないと思っている人が多い」

自国で11の自治体を封鎖するほど爆発的な感染が確認された5日後の認識としては「随分ずれてるな‥」と思いました。

 

【2週目】3月1日〜3月8日 気になり始めた死亡者数の多さ

2月22日に11の自治体が封鎖されてから2週目。

感染者の数はどんどん増えていきます。

しかしこの頃から気になっていたのは死亡者数の多さ。

3月4日の日本の友人とのLINEを見返してみると、この時点でもう死亡者数が107人。

私は前週から可能な限りテレワークに切り替えていましたが、それでも何人かは都合上、会わなくてなりませんでした。

その中の4人ほど、以下のようなことを言っていて不安になりました。

「私は心配していない。なぜパニックになるのか」

「致死率は低い。危険なのは高齢者だけ(自分は大丈夫)」

「私の会社(某自動車メーカー)では出張を中止にしただけで他の対策は特にとっていない」

みんな、2月22日に封鎖された11自治体から電車で1時間半程度のところに住む人たちです。

特に「危険なのは高齢者だけ」理論については、もし自分が無症状の感染者でそれを高齢者に移してしまったらどうするのか、というところに考えが及んでいないことに呆れました。

 


香港駐在から一時帰国中のイタリア人

香港に駐在して5年近くになるイタリア人の友人は、実家が私の家の近くで、2月上旬から一時帰国中。

メッセージで連絡をくれ、私が「少しナーバス」というと「自分も1ヶ月前の香港で同じだったけど、適切に用心すればリスクはおさえられる」

そして、香港のコロナ対策を経験してから、イタリアに帰ってきて感じたことなどを語りはじめました。

友達:「今、香港ではコロナを制御できている。市民が当局の指示に従ったから。イタリアでも(3月10日に全土移動制限が発令されてから)ようやくルールに従い始めた」


:「自分は2月下旬ぐらいからずっと心配して怖がっていたけど、自分のまわりの人たちは、移動制限が出た10日まで深刻にとらえていないように感じ、それでずっとナーバスになっていた」


友達:「私もあなたと同じ。2月にイタリアに帰ってきたとき、会社でマスクをしているのは私だけ。夜に友達と出かけたり、人が集まる所に行かないように気をつけていたのも自分だけだった」

 

街の人通りは少し減ったが。。

私は、2週目(3月1日〜8日)ぐらいから、外出は食料の買い出しのときだけにしていました。

自分のまわりの人たちは、ほぼ普段通りに仕事をしていて、テレワークをしていたのは数人。

スーパーへ行くときに街の中心地を通ると、人通りはいつもの6〜7割程度。

バールでは暇をもてあました高校生、大学生たちが、普段とたいして変わらないように集まってお喋り。

近所のスーパー3店とも、アルコール消毒液の設置などの対策をしているところはありませんでした。

 

政府と自治体の早い意思決定

イタリア政府や自治体の意思決定は、非常に早いと感じます。

1月30日の時点で中国発着の便を運航休止にしています。

他のヨーロッパ諸国に先駆けての措置だったのですが、今では「遅すぎた」とか「他国経由で入ってくるから意味がない」という批判も。

2月21日(金):コドーニョで最初の感染者を確認

2月22日(土):周辺の11自治体を封鎖

23日(月)から周辺の3州で全学校を1週間休校に

30日(月):休校をもう1週間延長

3月5日(木):学校の休校をイタリア全土に適用
日本では全国休校の決定から実施まで3〜4日ありましが、イタリアでは3月4日に発表されて、翌日から休校。共働き家庭が日本より多いのに、です。

この意思決定の早さは、政府や自治体の危機意識の高さを表していると思います。

やはり問題は市民レベルでの危機意識、かと。

 

【ロンバルディア州】全土移動制限なのに4割が外出

3月17日の全国紙コッリエレデッラセーラの1面の見出しは「外を出歩く人が多すぎる」。

(参照:corriere.it

全土移動制限が発令されてからまだ1週間。

街や公園などに人が多すぎる、取り締まりをもっと強化する、という記事。

そして、感染拡大が最も深刻なロンバルディア州(州都ミラノ)で携帯会社のデータを分析した結果、40%の人が外を出歩いていることがわかりました。

(https://www.corriere.it/cronache/20_marzo_17/coronavirus-cosi-lombardia-controlla-movimenti-via-cellulare-75c3d226-6897-11ea-9725-c592292e4a85.shtml)

その40%には、300〜500mの短い移動(近所のパン屋などへ行く)は含まれていません。

ただし、ほとんどの工場は稼働中なので、そこへ通勤するための移動もこの40%には含まれています。

いずれにしても「多すぎる」とロンバルディア州知事。

感染者数が最も多く、最も危機意識が高くなくてはならないはずのロンバルディア州でこのような状態。

普通に考えれば、感染拡大がまだ少ない南イタリアで同じ調査をすればもっと多くの人が出歩いているという結果が出そうです。

★★

3月19日、亡くなった方の人数がとうとう世界で一番多い国になってしまいました。

(おわり)

 

中国からイタリアに派遣の医師団「道にいる人がまだ多すぎる」

【全土で移動制限】イタリア人の国民性も捨てルール厳守

【3月8日 イタリア北部を移動制限】ミラノから脱出する人たち